【キレる】衝動制御の障害【病気なの?】

衝動制御の障害

すぐキレる、暴れる人たち、子供たち。

些細なことで、キレてしまう、暴れてしまう人たちがいます。

その中には、すぐキレてしまう、暴れてしまうことを凄く後悔し、会社、家庭内などの人間関係がうまくいかず、そのことに苦しんでいる人たちもいます。

ではすぐキレることや暴れることに関して、精神医学的にはどのような見方をするのでしょうか。

病気としての位置づけ~間欠性爆発性障害~

攻撃的衝動に抵抗できずに、ひどい暴力行為または所有物を破壊してしまうという病態がみられます。

実際の外来診療では「ダメだと分かっているのに怒りを抑えられない。その後凄く後悔する。」ということがお困りで受診される方がいます。

攻撃性は、その病態を引き出す誘因になったであろうストレスと比較しても、はなはだしく不釣り合いに突出していることが多いのです。

間欠性爆発性障害の方が発作または突然の発症と述べる症状は、数分または数時間のうちに現れて、持続時間に関係なく自然にまたは速やかに軽減します。

それぞれの問題行動の後に、心から後悔して自責の念を示し、表面化した衝動性や攻撃性の徴候は、この間には消失します。

ただし、統合失調症や反社会性または境界性人格障害、ADHD、行為障害、物質中毒による制御不能の人たちには間欠性爆発性障害の診断はつかないことになっています。

原因

衝動制御の障害においては、精神力動的因子、心理社会的因子、そして生物学的因子のすべてが重要な役割を果たしています。

疲労や、ストレス、心的外傷は衝動制御に対する耐性を低下させます

爆発の噴出については、自己愛が傷つけられる出来事に対する防衛であるといわれています。

激怒を噴出させることで対人関係に距離ができ、それ以上に自己愛が傷つくことから守られるのです。

子供の衝動的な、または逸脱した行動は、根源的な母子関係を獲得しなおそうとする試みである場合があります。

子供の衝動行為は母親の愛情を得ようとするのをやめる行為と言うよりも、逆に母親の肯定や愛情を求める希望のようなものなのです。

衝動行為をする人は不安や罪の意識、抑うつ、他の苦痛となる感情を、行動によって抑制しようと試みますが、その行動によって一時的でも開放を得られることは難しく、うまくいきません。

心理社会的因子

衝動がコントロールできないことに因果関係のある心理社会的因子は、人生の早期の出来事と関係しています。

成長期の子供は、例えば衝動制御の困難な親のような不適切な手本に同一化することがあります。

他には、家庭内暴力、アルコールの乱用、反社会的行為にさらされることなどが指摘されています。

生物学的因子

幼少期にADHD(注意欠陥/多動性障害)と診断された人の中には、青年期になっても衝動制御の症状が続く人がいると指摘されています。その場合は衝動制御の問題はADHDの症状の一つととらえられるでしょう。

精神遅滞、てんかん、脳器質性疾患などが、衝動制御が困難な症状に関係していることがあります。

経過と予後

間欠性爆発性障害は人生のどの時期でも起こりますが、青年期後期と成人期初期の間で生じることが多いとされています。

発症は突然であることも、潜行性であることもあり、経過は一時的であることも慢性的であることもある。

多くの場合、中年になるとその激しさは減ることが多いと言われていますが、脳梗塞やてんかん、認知症などの合併で、さらに激しい状態になることがあります。

治療

薬物療法と精神療法を組み合わせた取り組みが、効果的とされています。

しかし、間欠性爆発性障害の方に対する精神療法は、怒りの爆発性を引き起こし難しくなることもあります。

特に思春期や青年期の間欠性爆発性障害の方には、集団療法や家族療法が有効である場合があります。

治療の目標は、衝動がどのようにして爆発に至るのかその思考や感情を認識させ、行動を起こす代わりに言語で表現させることです。

薬物療法としては、抗てんかん薬が長く使用されてきましたが、結果は一定しません。

リチウム(リーマス)は一般に攻撃的行動を低下させるのに有効です。

また、カルバマゼピン(テグレトール)、バルプロ酸(デパケン)、フェニトイン(アレビアチン)も有効と言われています。

ベンゾジアゼピン系(安定剤など)は時に使用されますが、制御不能の奇異反応を生じることがあります。

抗精神病薬や三環系抗うつ薬が有効な場合もありますが、そのような時は、統合失調症や気分障害を疑うことも大切です。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やトラゾドン(デジレル)なども衝動性や攻撃性を低下させるのに有効なこともあります。

プロプラノロール(インデラル)やその他βアドレナリン受容体拮抗薬、カルシウムチャネル阻害薬も時に有効な場合があります。

子供の爆発性について

子供は傷つけられることに対応する防衛反応として爆発性がみられることがあります。

子供は否定される場面が多かったり、理不尽に怒られたり、傷つけられる言葉が続くと爆発性が見られるようになる事があります。

子供へ対応する際に自分自身の自己愛の問題が隠れていないのか考えてみると良いかもしれません。

子育てという親子の相互作用において、子供を愛する「対象愛」よりもあなた自身への「自己愛」に偏重し、自分の必要や情緒的ニーズを満たすことが優先されてはいると、子供を怒鳴ったり、責める場面が増えていきます。

もし、思い当たることがあれば、カウンセリングでも良いですので、早めに受診して相談してみてはいかがでしょうか。

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