ドラール(クアゼパム)を処方された方へ
一般名
ドラール quazepam
製品名
ドラール
剤型
錠剤 15mg、20mg
後発品
クアゼパム
適応
①不眠症
②麻酔前投薬
用法・用量
①不眠症:1回20㎎を就寝前に内服します。1日最高用量は30㎎です。
②麻酔前投薬:手術前夜、1回15㎎~30㎎を就寝前に内服します。1日最高用量は30㎎です。
禁忌
急性狭隅角緑内障、重症筋無力症
肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期などで呼吸機能が高度に低下している場合も原則禁忌となります。
半減期
約36時間
ドラール(クアゼパム)の特徴
ドラール(クアゼパム)は、米国シェリング・プラウ社で1971年に合成された、中・長時間作用型に分類されるベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
空腹時内服した場合、血漿血中濃度は3.4時間で最高に達し、半減期は約36時間です。
食事により吸収が増大するため、食後内服すると最高血中濃度は大きくなります。
トリフルオロエチル基を有することにより、ベンゾジアゼピン受容体中BZ1受容体に対する特異的な親和性を有しており、BZ1受容体を介して睡眠覚醒を抑制し、睡眠機構に作用します。
REM睡眠への影響が少なく、入眠が早く、熟眠効果に優れ、自然な睡眠を導いてくれます。
中・長時間作用型ですので、短時間作用型薬剤に比較し、夜間・早朝覚醒が少なく、服薬中止時の反跳性不眠の発現する可能性が少ないお薬です。
催眠作用に比べ、筋弛緩作用が少ないのも特徴です。
ドラール(クアゼパム)の薬理作用
下部脳幹を起源とする睡眠導入機構を介して作用すると考えられます。
ドラール(クアゼパム)とその活性代謝物はBZ1受容体に対する選択的な親和性を示します。
BZ1受容体は脳全体に存在し、小脳での存在比率が高い受容体で、傾眠鎮静作用や抗不安作用等に関与し、ドラール(クアゼパム)はこの受容体を介する睡眠覚醒の抑制と睡眠導入機構に作用すると考えられています。
ドラール(クアゼパム)の効果
睡眠ポリグラフを用いた終夜睡眠パターンに及ぼす影響を調べた研究では、躁睡眠時間の延長、躁覚醒時間の減少、睡眠段階1の減少、睡眠段階2の増加が見られています。
REM睡眠と睡眠段階3及び4は、減少傾向を示し、他のベンゾジアゼピン系睡眠薬同様の特徴を有していますが、REM睡眠の抑制作用は弱いようです。
ドラール(クアゼパム)の副作用
眠気・傾眠(6.1%)、ふらつき(3.6%)、頭重感(1.4%)、倦怠感(1%)などの報告があります。
まとめ
ドラール(クアゼパム)は入眠効果、熟眠効果に優れており、自然の眠り近い睡眠の維持をサポートしてくれる中・長時間作用型のベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
睡眠効果が強く、持続的な効果を期待できますが、依存に注意が必要であることと、翌日まで鎮静作用が続く持ち越し作用に注意する必要があります。
筋弛緩作用が弱い特徴を持ってはいますが、高齢者で使用する場合には転倒の危険性と、日中の傾眠の出現に注意が必要です。