ロナセン(ブロナンセリン)とはどんな薬か【非定型抗精神病薬】

ロナセン(ブロナンセリン)を処方された方へ

一般名

ブロナンセリン blonanserin

製品名

ロナセン

剤型

錠剤 2mg、4mg、8mg

散剤 2%(20mg/g)

適応

統合失調症

用法・用量

1回4㎎、1日2回より開始し、漸増します。1日8~16㎎で維持し、1日2回で分服します。1日最大24㎎までです。

半減期

約11時間

ロナセン(ブロナンセリン)の特徴

ロナセン(ブロナンセリン)は、大日本住友製薬株式会社で2008年1月に承認を受けた新しい構造の第二世代(非定型)抗精神病薬です。

ドパミンD2およびセロトニン5-HT2A受容体に対する遮断作用により、統合失調症における幻覚・妄想などの陽性症状、情動的引きこもり、感情鈍麻などの陰性症状に対して効果を発揮します。

リスペリドンおよびハロペリドールを対照薬とした二重盲検比較試験でも非劣性が示されています。

特に陰性症状の改善効果はハロペリドールより高いという報告があります。

ロナセン(ブロナンセリン)の薬理作用

ロナセン(ブロナンセリン)はセロトニン-ドパミンアンタゴニスト(SDA:serotonin dopamine antagonist)に分類される薬物です。

その受容体親和性の特徴として、リスペリドンやオランザピンと異なり、ドパミンD2受容体結合親和性がセロトニン5-HT2A受容体よりも高いことがあげられます。

また、抗精神病薬の副作用発現に関連するとされているアドレナリンα、ヒスタミンH1、ムスカリン性アセチルコリンM1などの受容体への結合親和性は低く、ドパミンD2およびセロトニン5-HT2A受容体に高い受容体選択性を有します。

薬物動態は食事の影響を受けることが報告されています。

最高血漿中濃度の到達が、空腹時に比べ食後投与時の方が延長するようです。

ロナセン(ブロナンセリン)は主に胃からではなく腸から吸収されるため、食後の胃内容物排泄時間の延長が吸収の遅延をもたらすこと、食事による血流量の増加による初回通過効果の低下が関与すると考えられています。

主として、薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されます。

CYP3A4を強く阻害する薬物の併用により、ロナセン(ブロナンセリン)の作用が増強する可能性があります。

ロナセン(ブロナンセリン)の効果

ロナセン(ブロナンセリン)は、第一世代抗精神病薬や第二世代抗精神病薬を代表するハロペリドール、リスペリドンと匹敵する陽性症状改善作用と、ハロペリドールよりも優れた陰性症状改善効果を示すという報告があります。

統合失調症の方は、注意、記憶、実行機能などにおける認知機能の低下が出現することがありますが、ロナセン(ブロナンセリン)には、言語性記憶の即時および遅発再生の改善効果、注意、処理速度の改善効果といった認知機能障害に対する有効性も報告されています。

また、セロトニン5-HT2A受容体遮断作用と高い受容体選択性は、ハロペリドールに比べ錐体外路系症状や過鎮静が少ないこと、またリスペリドンと比較し、高プロラクチン血症、体重増加、食欲亢進、起立性低血圧等の副作用が少ないことに関係しています。

ロナセン(ブロナンセリン)の副作用

主な副作用には、振戦、動作緩慢、流涎過多、パーキンソン症候群、アカシジア、不眠、プロラクチンの上昇、ジスキネジア、眠気などの報告があります。

まとめ

ロナセン(ブロナンセリン)は第二世代(非定型)抗精神病薬に分類される、セロトニンとドパミンをブロックする作用に優れたお薬です。

統合失調症における幻覚・妄想などの陽性症状を改善させる効果や、意欲低下や感情鈍麻などの陰性症状への効果、特に認知機能の改善効果も報告されています。

ただし、パーキンソン症候群などの錐体外路症状や、高プロラクチン血症(乳汁分泌、生理不順等)などの副作用に注意が必要です。

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