高プロラクチン血症の身体への影響【薬剤性乳汁分泌、無月経】

高プロラクチン血症

高プロラクチン血症の身体への影響

抗精神病薬の服用をしていて、高プロラクチン血症になり、乳汁分泌や無月経などが出現する場合があります。

高プロラクチン血症の短期的、長期的な身体への影響について説明します。

プロラクチンとは

プロラクチンは、主に乳腺の発育と乳汁分泌に関与する、脳の下垂体というところから分泌されるホルモンです。

198個のアミノ酸で構成される単純蛋白で、分子量は約2.3万で、下垂体前葉の好酸性細胞で生合成されます。

そのプロラクチンの分泌がドパミン神経によって抑制的に調整されています。

そのため、大部分の抗精神病薬はドパミン遮断作用によって、プロラクチン値を上昇させ、結果高プロラクチン血症になります。

プロラクチンの基準値

小児 1.2~12ng/ml

成人男性 1.5~10ng/ml

成人女性 1.5~15ng/ml

70歳以上 1.2~15ng/ml

※ただし、妊婦や産褥期では高値となります。

高プロラクチン血症の短期的影響

女性の無月経、月経周期の異常、乳汁漏出症(乳汁分泌)、乳房の腫大がみられることがあります。

男性の場合は女性化乳房、勃起時間の延長、持続勃起症がみられることがあります。

性欲の減退、オルガズム不全、射精障害を引き起こすこともあります。

高プロラクチン血症の長期的影響

女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンが低下し、その結果骨密度の低下がみられます。

骨密度の低下は骨粗しょう症の原因になります。

その他の影響

プロラクチンの上昇により、エストロゲンが欠乏することで、抑うつ気分が出現するという報告もあります。

女性においては、不安や敵意の増加についても指摘されています。しかし、男性では敵意の増加はみられませんでした。

高プロラクチン血症への対策

抗精神病薬により高プロラクチン血症をきたしている場合、プロラクチン値の上昇をきたしにくい他の非定型抗精神病薬に変更するという選択肢があります。

どうしても抗精神病薬を変更できない場合は、ブロモクリプチンやぺルゴリドといった、プロラクチン減弱作用のあるお薬を利用するという選択肢もあります。

ただし、プロラクチン値が100ng/mlを超える場合は下垂体腺腫を疑い画像検査など詳しく調べる場合があります。

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