トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)を処方された方へ
一般名
アミトリプチリン塩酸塩 amitriptyline hydrochloride
製品名
トリプタノール
剤型
錠剤 10mg、25mg
適応
①うつ病・うつ状態
②夜尿症
③末梢神経障害性疼痛
用法・用量
①うつ病・うつ状態:1日に30~75mgを初期用量として、1日150mgまで増量し、分割内服します。場合によっては300mgまで増量します。
②夜尿症:1日10~30mgを練る前に内服します。小児の場合は1日量1mg/kg、3回分服を3日間、その後1日1.5mg/kgまで増量します。
③1日10㎎から内服開始し、1日最大150㎎まで増量することもあります。
半減期
約20~40時間
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)の特徴
トリプタノール(アミトリプチリン)は、アメリカのメルク社によりジベンゾシクロヘプタジエン系構造を有する三環系抗うつ薬の一つです。
日本では1961年より発売されています。
トリプタノール(アミトリプチリン)はトフラニール(イミプラミン)に比較して、鎮静作用が強く、不安・緊張・焦燥感に強い方に有効です。
その為、神経症や心身症を含め、各種の抑うつ状態に広く用いられます。
ただし、効果も強いですが、副作用も出現しやすいので注意が必要です。
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)の薬理作用、薬物動態
Tmax(最高血中濃度到達時間)は約4.5時間で、半減期は約20~40時間です。
トリプタノール(アミトリプチリン)は、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込みを阻害することにより、シナプス間隙におけるモノアミン濃度を増加させます。
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)の適応症に対する効果
鎮静作用が強く、不安・緊張・焦燥感に強い方に有効で、神経症や心身症を含め、各種の抑うつ状態に広く用いられます。
4歳以上の児童にみられる夜尿症で器質的変化によらない機能性の原因によるものが抗うつ薬の治療治療対象になりえます。
慢性疼痛症への鎮痛作用、慢性の頭痛、片頭痛、腰痛、関節痛、糖尿病性の神経痛、三叉神経痛などにも効果が報告されています。
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)の意点、副作用
トリプタノール(アミトリプチリン)をはじめとする抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用も強いのですが、副作用も出現しやすいお薬です。
低血圧、頻脈、口渇、便秘、排尿困難、めまい、倦怠感、眠気、振戦等が見られやすい副作用です。
また、内服後、不安感や焦燥感、パニック、興奮、不眠、イライラ、攻撃性、衝動性、アカシジア等が見られる場合にはすぐに主治医に相談して下さい。
中枢性の抗コリン作用が強く、高齢者では認知機能の障害やせん妄が起こることがあり、注意が必要です。
また、稀に顔・舌部の浮腫、味覚異常、四肢の知覚異常が出ることがあります。
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)の薬物相互作用
トリプタノール(アミトリプチリン塩酸塩)はモノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌となっています。
抗コリン作用を有する薬剤と併用すると、それぞれの作用が増強されます。
アドレナリン作動薬、中枢神経抑制薬、全身麻酔薬、キニジン、メチルフェニデート、黄体・卵胞ホルモン製剤、シメチジン、フェノチアジン系薬剤、抗不安薬、飲酒の効果を増強させます。
降圧薬の効果を減弱することがあります。
インスリン製剤、SU剤との併用では過度の低血糖を生じさせることがあり注意が必要です。
バルビツール酸誘導体やフェニトインなどの肝薬物代謝酵素誘導作用を有する薬物はトリプタノール®/アミトリプチリンの作用を低下させることがあります。
まとめ
トリプタノール(アミトリプチリン)は三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。
抗うつ作用は強いのですが、副作用も出現しやすく、現在第一選択で使用されることは少なくなっているお薬です。
しかし、有用な場面もあり処方されることもありますので、内服し、副作用が気になるようならすぐに主治医に相談して、効果と副作用のバランスのとれた服薬量を調整してもらうのがいいでしょう。