セロクエル(クエチアピンフマル酸塩)を処方された方へ
一般名
クエチアピンフマル酸塩 quetiapine fumarate
製品名
セロクエル
剤型
錠剤 25mg、100mg、200mg
細粒 50%
適応
統合失調症
用法・用量
1回25mg、1日2~3 回より開始し、漸増します。1日150~600㎎で維持し、1日2~3回で分服します。1日最大750mgまでです。
半減期
約3.5時間
セロクエル(クエチアピン)の特徴
セロクエル(クエチアピン)は米国アストラゼネカ社で開発されたジベンゾチアゼピン系の非定型抗精神病薬です。
他の抗精神病薬では改善しない難治性統合失調症にも有効とされるクロザピンと同等の薬効をもち、かつ重篤な副作用をもたない新規抗精神病薬の開発の過程において登場しました。
各種の受容体に親和性を持ち、非定型性を規定する多くの薬理学的特徴を有しています。
統合失調症の陽性および陰性症状に効果を示めすことが確認されています。
セロクエル(クエチアピン)は忍容性が高く、錐体外路症状やてんかん発作も少なく、プロラクチン血症の副作用も出現しにくいなどの特徴が、コンプライアンスの確保につながり、統合失調症の再燃、再発を予防し、QOLを上げることが期待されています。
2000年12月に日本で承認されています。
セロクエル(クエチアピン)の薬理作用
定型抗精神病薬として代表的なハロペリドールはドパミンD2受容体の選択的拮抗薬ですが、セロクエル/クエチアピンはセロトニン5-HT1A受容体・5-HT2受容体、ドパミンD1、D2受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1、α2受容体に親和性をもち、コリン作動性ムスカリン受容体およびベンゾジアゼピン受容体には親和性をもちません。
ドパミンD2受容体のみでなくセロトニン5-HT2受容体遮断作用を併せもつことから、統合失調症の陽性症状だけでなく、陰性症状に対しても効果を示すと考えられます。
また、相対的にドパミンD2受容体よりもセロトニン5-HT2受容体に高い親和性をもつことから、錐体外路症状の副作用の出現は少ないと考えられます。
内服後、約2.6時間後に最高血中濃度に達し、半減期は約3.5時間です。
主に肝臓で代謝されます。(主にCYP3A4によります)
セロクエル(クエチアピン)の効果
セロクエル(クエチアピン)は、統合失調症について認可をうけています。
統合失調症における幻覚・妄想などの陽性症状を改善するのみならず、情動の平板化、自閉、自発性・流暢さの欠如などの陰性症状を改善すると報告されています。
また、錐体外路症状の出現が少ないことも示されており、満足度は高いという報告があります。
セロクエル(クエチアピン)の副作用
錐体外路症状(約21.2%)、不眠(約19.3%)、神経過敏(約17.8%)、傾眠(約14.2%)、倦怠感(約10.8%)、不安(約10.6%)等の副作用の報告があります。
まとめ
セロクエル(クエチアピン)は第二世代(非定型)抗精神病薬に分類される、様々な受容体に作用をもつお薬です。
統合失調症における幻覚・妄想などの陽性症状を改善させる効果や、意欲低下や感情鈍麻などの陰性症状への効果が認められており、錐体外路症状などの副作用が少なく、有効性と安全性の両立を求めたお薬です。