デジレル、レスリン(トラゾドン塩酸塩)とはどんな薬か【トリアゾロピリジン系抗うつ薬】

抗うつ薬

デジレル、レスリン(トラゾドン塩酸塩)を処方された方へ

一般名

トラゾドン塩酸塩  trazodone hydrochloride

製品名

デジレル、レスリン

剤型

錠剤 25mg、50mg

後発品

トラゾドン塩酸塩

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日75~100mgを初期用量として1日1~数回で内服します。1日200mgまで増量できます。

半減期

約6~7時間

デジレル、レスリン(トラゾドン)の特徴

デジレル、レスリン(トラゾドン)は1971年にイタリアのアンジェリーナ社で開発され、日本では1991年に発売された抗うつ薬です。

トリアゾロピリジン誘導体に属し、従来の三環系・四環系と異なった構造及び薬理作用を示します。

ノルアドレナリンに対するよりも、セロトニン取り込みに対する選択的な阻害作用を有します。

精神賦活作用よりも抗不安・鎮静作用が強く、不安・焦燥、睡眠障害の強いうつ状態に有効です。

抗コリン性の副作用および心循環器への影響が少なく、安全性に優れ、世界では40か国以上で使用されています。

デジレル、レスリン(トラゾドン)の薬理作用、薬物動態

Tmax(最高血中濃度到達時間)は3~4時間で、半減期は約6~7時間です。

血漿血中濃度は内服を継続して、約2日で定常状態に達します。

長期連続投与においても蓄積性は見られませんでした。

主に小腸から速やかに吸収され、消失も速やかで、約40%が尿中へ排泄され、一部腸肝循環するようです。

セロトニンに対する選択的な取り込み阻害作用および長期投与によるセロトニン・ノルアドレナリン受容体の感受性低下作用によりうつ病、うつ状態を改善させます。

従来の三環系抗うつ薬と異なり、抗レセルピン作用やメタンフェタミン作用増強効果はもちません。

抗コリン作用もほとんど認められていません。

α遮断作用により低用量から血圧を下降させることがありますが、心臓におけるノルアドレナリン取り込み阻害作用はほとんどなく、心機能への影響は少ないお薬です。

その他抗ヒスタミン作用や、セロトニンによる気管支及び腸管の収縮抑制を示します。

デジレル、レスリン(トラゾドン)は特に抗不安・鎮静作用および睡眠改善作用に優れています。

睡眠脳波では、睡眠率の上昇、睡眠潜時の短縮、REM睡眠潜時の延長、深睡眠の比率の増加を認めます。

デジレル、レスリン(トラゾドン)の効果

うつ病、うつ状態における臨床試験では、中等度改善の有効率は約52%で、抑うつ気分、不安だけでなく、睡眠障害や身体症状に対しても改善効果がみられます。

3ヶ月以上の長期投与では中等度改善率は約91%と高い結果が見られています。

デジレル、レスリン(トラゾドン)の副作用

眠気約5%、めまい・ふらつき約5%、口渇約4%、便秘約2%等みられたという報告があります。

デジレル、レスリン(トラゾドン)の薬物相互作用

アルコールや中枢神経抑制薬との併用で相互に作用が増強することがあります。

降圧薬、フェノチアジン系薬剤との併用で血圧低下がみられることがあります。

ワルファリンとの併用でプロトロンビン時間短縮がみられることがあります。

カルバマゼピンとの併用でデジレル、レスリン(トラゾドン)の作用が減弱する可能性があります。

まとめ

デジレル、レスリン(トラゾドン)は他の三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬とは全く異なる作用機序で、セロトニン取り込みに対する選択的な阻害作用によって抗うつ効果を発揮する抗うつ薬です。

抗不安・鎮静作用が強く、不安・焦燥、睡眠障害の強いうつ状態に有効であり、睡眠改善に使われることも多いお薬です。

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