アモキサン(アモキサピン)とはどんな薬か【三環系抗うつ薬】

三環系抗うつ薬

アモキサン(アモキサピン)を処方された方へ

一般名

アモキサピン amoxapine

製品名

アモキサン

剤型

細粒 10%

カプセル 10mg、25mg、50mg

適応

うつ病・うつ状態

用法・用量

1日25~75mgを1~数回に分けて内服し、症状に応じて1日150mgまで増量します。1日最大300mgまで増量することもあります。

半減期

約8~30時間

アモキサン(アモキサピン)の特徴

アモキサン(アモキサピン)はアメリカのレダリー社で開発され、日本では1980年頃から発売された第2世代の三環系抗うつ薬です。

比較的速効性で、うつ病・うつ状態における抑うつ気分、思考抑制、自殺観念などに対して効果を示し、幅広い症状に作用します。

従来の三環系抗うつ薬に比べて抗コリン性の副作用は少なくなっています。

本剤はジベンズオキサゼピン誘導体に属します。

代謝産物の8-ヒドロキシアモキサピンが抗ドパミン作用を有するため、精神病症状を伴う大うつ病に有効であるともいわれています。

その反面、抗精神病薬と類似の神経学的及び内分泌学的副作用(例えば、振戦や筋固縮等の錐体外路症状や抗プロラクチン血症等)を引き起こしうることに注意が必要です。

アモキサン(アモキサピン)の薬理作用、薬物動態

Tmax(最高血中濃度到達時間)は1.5時間で、半減期は8~30時間です。

アモキサン(アモキサピン)を含む三環系抗うつ薬は、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込みを阻害することによりシナプス間隙におけるモノアミン濃度を増加させます。

その他、抗テトラベナジン作用、抗レセルピン作用、情動過多を抑制するトランキライザー類似作用、中枢作用(自発運動の抑制、カタレプシー引き起こし、睡眠増加、馴化、抗嘔吐、体温下降等)、抗コリン作用などがみられます。

アモキサン(アモキサピン)はトフラニール(イミプラミン)やトリプタノール(アミトリプチリン)と比較すると、抗コリン作用や心・循環器・呼吸器系などに及ぼす影響は少ないです。

経口投与の後に速やかに吸収され、内服後48時間までに内服量の20%が尿中に、65%が糞便中に排泄されます。

アモキサン(アモキサピン)の適応症に対する効果

アモキサン(アモキサピン)のうつ病・うつ状態における改善率は70~75%との報告があります。

作用スペクトルは広く、特に抗うつ、不安障害、抑制症状、身体症状等に対する効果が著明です。

臨床では内服後4~7日以内に効果が発現してくることが多いです。

アモキサン(アモキサピン)の意点、副作用

アモキサン(アモキサピン)をはじめとする抗うつ薬において、服用開始後に抗うつ効果を発現する前に副作用が出現することもあります。

特に三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中で、作用が強く、副作用も出現しやすいお薬ですが、アモキサン(アモキサピン)はその中でも比較的副作用の発生頻度は低い方です。

口渇、めまい、便秘、眠気、不眠、発疹、排尿困難、パーキンソン病様症状、躁転、頻脈、倦怠感などの報告があります。

しかし、抗コリン作用及び、血圧降下などの心循環系への影響は他の三環系抗うつ薬のイミプラミンやアミトリプチリンより弱いです。

一方で、抗うつ薬の中では、けいれんの副作用がみられる傾向があります。

代謝産物がドパミン阻害作用をもつため、パーキンソン病様症状やアカシジア、ジスキネジア、高プロラクチン血症、乳汁漏出症、インポテンスなどを引き起こす可能性があります。

アモキサン(アモキサピン)の薬物相互作用

アモキサン(アモキサピン)はモノアミン酸化酵素阻害薬との併用は禁忌となっています。

抗コリン作用を有する薬剤、アドレナリン作動薬、バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制薬、シメチジン、アルコールと併用すると作用が増強されることがあります。

降圧薬の作用を減弱させることがあります。

まとめ

アモキサン(アモキサピン)は効果の強いとされる三環系抗うつ薬に分類される抗うつ薬です。

三環系抗うつ薬の中では比較的副作用が軽減しており、代謝産物によるドパミン阻害作用も加わり、抗うつ作用をはじめ、不安や精神病症状への効果も期待できるお薬です。

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