SSRIで乳汁分泌は起こるか?
乳汁分泌にはプロラクチンというホルモンが関わっています。
下垂体前葉から分泌されるプロラクチンは、視床下部漏斗核にあるドパミン神経細胞からのドパミン分泌によって抑制性に調整されています。
そのため、ドパミン遮断作用をもつ抗精神病薬を服用することによって、プロラクチンの分泌亢進をもたらします。
抗うつ薬でも、トフラニール(イミプラミン)、トリプタノール(アミトリプチリン)、アナフラニール(クロミプラミン)、アモキサン(アモキサピン)などでは頻度は低いですが、、乳汁分泌がみられることがあります。
では選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)では乳汁分泌は起こるのでしょうか。
結論から言うと、「SSRIで乳汁分泌は起こることがある。」
オランダの副作用登録システムや論文においても、SSRIや抗うつ薬での乳汁分泌の報告はあり、抗うつ薬の中でもSRIは乳汁分泌を起こす頻度はやや高めの様です。
乳汁分泌とともに、プロラクチンが高値となる場合もあるようです。
SSRIによるプロラクチン値の亢進の機序
プロラクチン分泌はセロトニン刺激により亢進します。
SSRIによるプロラクチン値の亢進機序としていくつかの可能性が示唆されています。
セロトニンが視床下部のドパミン神経細胞を抑制し、その結果間接的に下垂体からのプロラクチン分泌を刺激すると考えられています。
また、SSRIを慢性的に内服していると、シナプス後部の5-HT2A受容体の感受性が高まり、結果的に刺激に対するプロラクチン分泌が亢進すると考えられてます。
まとめ
抗うつ薬の中でも三環系抗うつ薬などの従来の抗うつ薬に比べ、SSRIは乳汁分泌をきたしやすいようです。
作用機序としては、セロトニン作用を介し視床下部ドパミン神経細胞を抑制し、プロラクチン分泌を亢進するためと考えられています。
SSRIを内服中に、生理不順や乳汁分泌が出現した場合にはすみやかに主治医に相談するのがいいでしょう。